インフラ利活用と歩きたくなる街づくり

徳島県議会

2026.7.29(水)、30(木) 徳島県議会 県土整備委員会で群馬県を訪れました。

今回は八ッ場ダムで、気象予測と連動した放流判断等の運用、及び資料館等の周辺施設を核とした防災教育や情報発信の取組等について

さらに群馬県庁にて、「県庁〜前橋駅クリエイティブシティ構想」における先進的な街づくりを学び、歩きたくなる街づくりの具体策や官民連携による賑わい創出の仕組みなどを現地で体感させていただきました。

八ッ場(やんば)ダム

八ッ場ダムは令和2年から本格運用され、洪水調節・利水・環境維持を統合した運用が実践されています。
令和元年東日本台風や近年の渇水対応では、実運用を通じた多くの知見が蓄積されており、吉野川水系(早明浦ダム、長安口ダム、池田ダムなど)を抱える徳島県にとっても参考となる点が多くあります。

八ッ場ダム1 委員長としてご挨拶
委員長として挨拶
八ッ場ダム2

現在の運用方法

  • 洪水調節(治水)
    • 吾妻川および利根川下流の洪水被害軽減のため、計画高水流量を抑える洪水調節を実施
    • 豪雨が予測される際には、治水協定に基づき利水容量の一部をあらかじめ取り崩す「事前放流」を活用し、空き容量を最大化して洪水に備える運用
  • 都市用水の補給・利水
    • 東京都、埼玉県、群馬県、千葉県、茨城県等の首都圏エリアへ新規都市用水(水道・工業用水)を補給
  • 流水の正常な機能の維持・環境保全
    • ダム下流に位置する名勝「吾妻峡」の景観保全や生態系配慮のため、一定の河川維持流量を確保・放流
    • 国内最大級のサイフォン式選択取水設備を運用し、下流の水質保全(冷温水障害や濁水長期化の軽減)を図る
  • 水力発電
    • ダム下流の八ッ場発電所においてクリーンな再生可能エネルギーの発電を行う
八ッ場ダム3
八ッ場ダム4
八ッ場ダム5

現在の広報・情報発信

  • 拠点施設の活用(なるほど!やんば資料館)
    • ダム管理支所に併設された「なるほど!やんば資料館」にて、模型や映像・パネルによるダムの仕組みや歴史の展示、ダムカードの配布を実施
  • ウェブサイトやSNS・定期報告の公開
    • ダムのリアルタイム水位・放流量データや管理状況の公表、および「ダム等管理フォローアップ制度」に基づく調査結果や改善取り組みの外部公開
八ッ場ダム6

注目すべき「八ッ場ダムならでは」の運用方法および広報

  • 最先端の選択取水設備(国内最大級サイフォン式)を活用した環境配慮運用
    • 取水範囲58m(29段のサイフォンパイプ)という国内最大規模のサイフォン式選択取水設備を備えており、きめ細やかな水温・水質調整を実施
  • 歴史的背景や建設技術を伝える総合的な防災・地域学習プラットフォーム
    • 単なるダム機能の説明にとどまらず、約70年に及ぶ建設の歴史や地域住民との合意形成の歩み、最先端工法(巡航RCD工法や3次元データの活用)を凝縮して伝える防災教育の場として機能
  • 観光・地域振興と一体化した官民連携(インフラツーリズム)
    • ダム湖(八ッ場あがつま湖)での水陸両用バス運行、カヌー・SUPなどのアクティビティ、旧JR線の自転車型トロッコ(アガッタン)など、周辺自治体や事業者と連携した水源地活性化プロジェクトを展開
  • 下流の名勝「吾妻峡」の景観維持に配慮した流量管理
    • 国指定名勝である吾妻峡の観光的価値や生態系を維持するため、視覚的満足度や流動感に配慮した意図的な維持流量の確保運用を実施

メモ
  • 洪水調節の判断基準
    • 長安口ダム・早明浦ダムの事前放流高度化
    • 線状降水帯への対応
  • 事前放流のリスク管理
    • 利水と治水のバランス
    • 近年の異常気象
  • 複数ダムの統合運用
    • 早明浦・長安口・池田・富郷などの連携
  • 利水と治水の優先順位
    • 吉野川水系全体の水配分
  • 流域治水との役割分担
    • ダム偏重にならない治水政策
    • 流域治水への転換
  • ダムの役割を流域住民全体へどう伝えているか
    • 「見えないインフラ」の価値をどう伝えるか
  • 防災教育への活用
    • 小中学校の防災教育
    • 流域治水教育との連携
    • 次世代への防災意識の継承
  • SNS・デジタル時代の情報発信
    • 県公式SNSや防災アプリとの連携
    • リアルタイム情報の見える化
    • 若い世代への情報発信強化

八ッ場ダム7
八ッ場ダムのフーチング階段(ダム高低差116m 階段高低差79m ​段数 316段)

八ッ場ダムでは、この階段を年に一度特別開放し、「八ッ場ダム」駆け登りレース やんばスカイラン を開催

登ってきました

八ッ場ダム8
ばてばてですが
八ッ場ダム9
なんとか到着
八ッ場ダム10
笑顔でV

徳島県企業局は、地方公営企業として、電気事業、工業用水道事業、土地造成事業、駐車場事業の4つの事業を実施し、2月議会でも取り上げた通り、今年70周年。広報にも力を入れており、私達の基本的な生活および徳島の経済を支える、「縁の下の力持ち」な存在です。
スマホやPCから気軽に見れる記念誌「デジタル・アニバーサリー・ブック」を制作中。
完成後企業局HPにて公開予定。お楽しみに。

群馬県庁(県庁-前橋駅整備事業)

徳島市と前橋市はどちらも地方都市であり、自動車依存が高いという共通点があります。
一方で、前橋市は「車を排除する街」ではなく、「歩きたくなる理由を増やす街」を目指して、県庁から前橋駅までを一つの都市空間として再編集している点が特徴です

群馬県庁1
群馬県庁
群馬県「ウォーカブルなまちづくり」の経緯と現状
  • 背景と構想
    2010年代半ば〜:【民間主導の動きが活発化】

    モータリゼーションによる中心市街地の空洞化が進む中、前橋市で民間投資主導のまちづくり(「白井屋ホテル」再生プロジェクトや馬場川通り等の環境整備)が本格化

  • 2019年12月:【県庁舎の利活用推進】

    群馬県庁舎32階に官民共創スペース「NETSUGEN」を整備する方針などを打ち出し、県庁自体を人・情報が集まる拠点へ転換開始

  • 2020年:【県庁舎内にメディアスタジオを開設】

    県庁舎内に動画・放送スタジオ「tsulunos(ツルノス)」を開設 。情報発信と賑わいづくりの拠点化を進める

  • 計画の策定
    2021年:【「県庁〜前橋駅クリエイティブシティ構想」の策定】

    県と前橋市が連携し、県庁から前橋駅までの中心軸(約1.5km)を「車中心から人中心(ウォーカブル)」へ転換する基本構想を始動

  • 2022年:【都市空間デザイン国際コンペの実施】

    ウォーカブルな都市空間を実現するため、県庁〜前橋駅エリアの質の高いデザインアイデアを国内外から公募

  • 2023年:【次世代モビリティ(MaaS(Mobility as a Service))との連携本格化】

    移動の利便性を高める群馬県版MaaS「GunMaaS(グンマース)」の社会実装・運用を開始。車を降りた後の徒歩移動(ラストワンマイル)を支える環境を構築。
    ※MaaSとは⇛電車やバス、タクシー、シェアサイクルなどの複数の交通手段を一つのサービスとして統合し、検索から予約、決済までをスマホアプリなどで一括して行う次世代の移動サービス

  • 社会実験
    2024年〜2025年:【歩行者空間化に向けた社会実験・住民対話】

    メインストリート(国道50号等)の車線規制や歩道拡幅を想定した交通社会実験を実施。
    市民や周辺事業者との対話(オープンハウス等)を通じて合意形成を推進

  • 現在(2026年):【本格的な空間再整備と波及展開】

    社会実験のデータ(人流・通行量等)をもとに道路空間の恒久的な再整備計画を進行中。
    さらに、自動運転バスの実証実験や県内他市町村への「ウォーカブルな都市デザイン」の横展開・ノウハウ共有を図っている

徳島での「歩きたくなる(ウォーカブルな)街作り」は昨年(2025年)11月に新町橋通り(国道438号)[新町橋~阿波おどり会館前]で社会実験を初めて行いました。

先進的に取り組んできた群馬県の試みは、行政連携、交通対策、住民合意、官民連携、財源・効果検証など多くの点で参考になりました。

群馬県ウォーカブル
「車中心から人中心(ウォーカブル)」へ
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